『おかず大好き』
食いしん坊の私は白いごはんをこよなく愛すが、ごはんが別に好きなわけではない。白いごはんと一緒に食べる数々の風味豊かなおかずが好きなだけである。
しかし白いごはんなしでは、せっかくの美味しいおかずも砂を噛むような誠にさみしい限りである。白いごはんは、その純白さ故、白無垢の花嫁のごとく、いかなる味のおかずにも食べる人の意思通りとなり、おかずの旨さを影からひたすら引き立て、自らは決して目立とうとはせず、けなげな初々しい影にホロリと惚れ直す今日この頃である。
まぜごはん、炊き込みごはん、丼も美味しいけれど、せっかくのおかずの味を引き立てる白いごはんの優れた特技が生かせないと不憫に思う。(そう言っても炊き込みごはんや鰻丼も美味しいけれど)
白い炊き立てのごはんがなんの断りなしに勝手に先に味がついており、食べる人の美味しいおかずと白いごはんの口中調味の楽しさが奪われている。ごはんの味の調節が自分の好みにあわせられぬ悔しさは、炊き立ての白いごはんの旨さを知る者にとってしか理解できぬ世界である。 (T.K)
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