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鍋による家庭教育

家庭に於ける躾を始めとする教育が疎かになっているとの心配の声が上がっているが、 鍋に注目すると意外に家庭に於ける教育効果が高い事に気が付く。
最近、子供の食生活が乱れていると言われており、学習塾通いの影響もあるが、孤食や個食が色々問題を引き起こしている。
孤食では、家族との会話が無く、黙って、モク、モクと食べるので食事のスピードが早く、肥満の原因とも言われる。鍋は、みんな一緒の食べ物をゆっくり食べる。
鍋を囲めば一家団欒の機会が増え、家族の会話が弾み、親子の親密な関係を構築する。
平等に対する教育で「2個のリンゴを3人で平等に分けるにはジュースにすれば良い」と言う答もあるかもしれないが、むしろ食べる人数で割り切れない不揃いの食材を如何に 平等に分配するかを考える方が良いのではないか。鍋は、正に食材を人数分に切り分けたりしない。一つ余分の竹輪は、お兄ちゃんが取るが、一つ足りない厚揚げは、がまんする。
鶏肉の好きな妹は、海老をお兄ちゃんに上げて、その分、余分に鶏肉を食べる。
学校の調理実習は、子供の将来の家族生活に大切な実習だが、自宅での復習の機会が少なく食材を揃えて家庭で復習するのも難しいが、鍋なら食材は、野菜と魚、肉は何でも良く、冷蔵庫に残った余りの半端な食材が使え、生ゴミを減らす事になる。ダシが必要なら「鍋つゆ」を売っており、鍋の調理実習をした子供は喜んで料理するし、家族も早めに帰宅し喜んで鍋を囲む事になる。お母さんが病気の時には、鍋を作って上げる、正に楽しい親孝行。
家族が喜ぶ顔を見ながらの復習は、楽しく、他の学課の復習の切っ掛けにもなれば幸いである。文部科学省による平成19年の全国学力テストでは、家族で夕食を一緒にする中学生と国語の県別の成績との相関係数は、+0,570と高いとの結果が出ている。
日本人の知恵である「油に頼らぬ美味しさ=ダシの旨さ」は鍋で分る食育の場である。
農家が丹精込めて作った農作物、畜産物、及び加工品、漁家が危険な海に出て獲った魚介類等、消費期限内に食べるつもりで買った食材が文明の利器、冷蔵庫の中で忘れられて、そのまま捨てられてしまう。鍋は、半端に残ったり、少し古くなった食材を生き変えらせる。少し萎びた白菜でも鍋に入れれば立派な野菜。椎茸、葱、野菜の芯でも鍋に入れれば、美味しくなくてもダシの元、明日の旨いおじやが待ってる。(朝食を食べる中学生の国語の成績との相関係数は、+0,625と高い結果)
正に人間が生きて行く為に「命ある生き物を食べる=お命を戴きます=いただきます」「勿体ない」の家庭でしか出来ぬ鍋による「食べ物を大切に」の実践教育の場である。
鍋にルールがある。ルールを守らないと鍋は旨くない。ルールの大切さを鍋で学ぶ。
a.鍋の中をかき混ぜない。煮えた食材と投入したばかりの食材が混じってしまうと、煮えすぎて、せっかくの食材の持つ美味しい歯応え、風味が味わえない。
b.鍋奉行である鍋の管理者(食材の投入時期、投入場所、食材ごとの調理時間、   加熱時間、食べ頃時間の予測)の命令、指示に従う事が、一番鍋が旨い事を   身(舌)をもって知る事になる。
c.鍋の汁は1人100ccは残るように食べる。(明朝の旨いおじやのダシ)
d.食材は鍋の中で多く残らぬ様に少しずつ分けて投入して、食べ残しを少なくする。



(参考)
 中学一年生の復習付き調理実習
 中学一年生女子生徒のアンケート



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